今回 法改正について書いてきましたが 今回は条約について書きたいと思います。
2016年 ワシントン条約(サイテス)で ヨウムの国際取引禁止が決定されました。
ワシントン条約で1類に分類されたことで 今後の野生種の輸入、取引は禁止となり、
人工的にブリーディングされた個体においても登録書などが必須となりました。
先日ZOOMで「アフリカ日本協議会」による「ヨウム保全セミナー」に
参加させていただきました。
日本ではサイテスの規制以前、年間500羽ものヨウムがペットとして取引されてきた
そうです。
(日本のみで500ということは世界的には数千ものヨウムが自由取引されてきた
ということです)
その多くは野生種であり、主に密猟によって捕獲されたもの、といわれています。
ヨウムはその賢さ故、ストレスを抱えやすく、ほとんどの鳥は捕獲から輸出されるまでの
過程で死亡してしまいます。
事実 1羽のヨウムがペットとして流通するまでにその20倍ものヨウムが犠牲になって
いるのです。(捕獲鳥の8~9割が死亡)
アフリカでのヨウムの生息数は減少しており 生息地も限られた地域にまで縮小して
います。
絶えない密猟の裏側で保護活動も続けられてはいますが密猟が終わることはなく、
このままでは 野生下で自由位飛び回るヨウムの姿は見られなくなるかもしれません。
日本でもコウノトリやトキなど野生下での絶滅が認められました。
トキやコウノトリは人工繁殖など様々な努力により少しづつ数を増やし、最近は国内で
自然に飛び回れるようにもなってきました。
ヨウムでも同じことだと思います。
このままではヨウムもトキのように 野生下での生存数が0になってしまう日が来るのも
遅くはないと思います。
ヨウムの場合 その主な理由はペットとしての需要の増加です。
インコやオウム類は賢く、物まねも得意で、人なれしやすいので飼い鳥としての人気も
高く たとえ高額でも入手したい、という人も多いようです。
ただ こういうニーズがある限り 輸入取引しようとするショップも多く、また
それが現地での密猟が続けられる結果につながっているのです。
先日のセミナーでの調査では未だ多くのショップでヨウムが取り扱われており、
その証明書類には「原産地フィリピン、日本」など 人工繁殖での個体である旨を
掲示されている例が多いようです。
人工繁殖、国内ブリーディング鳥に関する規制がないためではありますが、
実際にはこの鳥たちが確実に野生種の密輸に関わっていない保証はないそうです。
理由として アフリカ国内においても ヨウムの人工繁殖は難しいこと。
(近親交配などが多く、奇形などの発生が多い等)
したがって現地の保護繁殖においても野生鳥の使用が必須になっているそうです。
(証明書や原産地については信憑性に欠ける面が指摘されています)
なお、この問題はヨウムのみに言えることではありません。
現在サイテスにおいて 多くのインコ、オウム類が1類、2類に該当しています。
自由取引が認められているのはほんのわずかな、ブリーディング可能な種に
限られているわけです。
それでもペットショップに行くと 様々なインコ、オウム、フィンチなどが
販売されています。
またマスコミなどでも 多くの珍しいペットたちが紹介されています。
美しい鳥、珍しい動物を飼育して自分一人の手元に置きたいという人も
多いかもしれません。
でもその前にその1つの命がここに来るまでにどれだけの尊い命の
犠牲があったかを考えていただきたい。
ヨウムに限らずほかの鳥たちにおいても密猟や密輸は後を絶ちません。
ペットとしての需要があるから飼いたいと望むから、輸入されるのです。
買う人がいるから現地での密猟が続きます。
その結果、多くの鳥たちが犠牲になっていくのです。
そしてその種の生存が危うくなっていきます。
環境破壊や害獣などによる影響もみられますが 人間が影響する絶滅も多く
報告されています。
又、鳥がいなくなる、ということはそれだけではすみません。
その鳥が種がいなくなることでほかの動植物にも多くの影響が出ることに
なります。
害虫が増えたり植物の植生が変わることで ほかの動植物の分布図さえ
変わる結果につながることもあるのです。
あくまでも個人的な意見ですが
ペットとして飼う鳥は ペットとして育てられた国内で繁殖できるものだけで
十分なのではないでしょうか?
新しい鳥、珍しい鳥たちを、特に野生で自由に暮らす鳥たちをペットにしたいと
いう希望は持たないでほしいと思います。
そして 法改正をしていただけるのならば 是非 野生動物のペット目的の
輸入は全面禁止していただきたいと望みます。
これは 鳥だけに限らず、またサイテス指定の有無にかかわらず施行していただきたく
望みます。
野生に暮らす動物たちは そこで暮らしていくことが一番の幸せなのです。
確かに野生下では危険や厳しいこともたくさんあります。
しかし、彼らはそこで暮らすために進化し、その世界に順応して生きてきたのです。
ペットとして人の加護のもとに暮らすことは決して幸せではないはずです。
私たち一人一人が こういう鳥たち、動物たちを「買わない」「飼わない」という
気持ちを持っていくべきだと思います。
買う側のニーズがなければ 無理な密猟や殺戮も減少しと思ていくと思います。
命を大切にする、絶滅をなくしていく努力をできる社会になることを
深く望みます。
Commentaires