前回のブログで体表に現れた変化や疾病、問題などについて記載しました。
その続きです。
ブリーダー等における問題としては、感染症の問題もあります。
代表的なものは犬の ケンネルコフ。
子犬の感染症でブリーダー、ペットショップなど、病状のある犬から感染するといわれて
います。
鳥の場合でも 今 インコ類の中で特に問題視されているPBFD、BFD、
文鳥のトリコモナス症など これらの感染症は、キャリアとなった親鳥からヒナへの
感染例が診られることから 繁殖場からの感染拡大が指摘されています。
ブリーダーのところにキャリアになる個体がいた場合、繁殖した鳥が感染する例が
あります。
その個体に特に病的な見た目がなければそのまま ペットショップに搬送され、
そこで販売されることになりますが その個体が同じショップで販売される
他の健全だった個体への感染源になってしまいます。
ペットショップでは ほぼ同じ月齢の雛を同じケージで販売することも多く、
また ヒナへの給餌器具はほぼ使いまわしにされます。
顧客による触れ合いもほかの雛や鳥たちへの感染を広げることになります。
顧客に購入された鳥はそのまま迎えられることで その家に鳥さんがいれば
さらに感染を広げることもあります。
特に キャリア状態で成長した子は 見た目もとても元気なので 異常を認められずに
繁殖などをした際にヒナ鳥に感染させてしまうこともあるのです。
なお、前に触れましたがブリーダーさんは人気の種や高額に売れるものの繁殖に
力を入れています。
ですから、もしそういう種の繁殖ができそうな親ならばたとえキャリアであっても
繁殖に使用し続けるということもありえます。
ブリーダーや販売店時点で 販売動物の適切な健康診断や病気の治療をすればいい、
という意見を言う方もいます。
その分、販売価格をあげても良い、という意見もあります。
しかし現状はなかなか難しいことであることは確かです。
現在の法改正によってブリーダーや販売者に対していろいろな規制も増えましたが、
疾病に関する規制は、犬・猫であっても1年以上の飼育管理のある個体に限られています。
(年1度の獣医師による検診)
したがって販売用の子供(1年以下)については規制外になりますし、各事業所の管理期間
に対してなので 例えばブリーダー、ショップで10か月などであった場合
互いに規制外となってしまいます。
しかも 現状、犬・猫対象であることだし、それ以外についてはまだまだ抜け道だらけも
否めないところです。
ブリーダー、ショップとしての問題の一つに分離不安症の問題もあります。
分離不安症になると様々な問題行動が起こり得ます。
呼び鳴きが治まらない、攻撃性が増すなど、他種の症状が見られますがその原因の
多くは 親からの早期離脱にあるとも言われています。
動物の子は親によって色々な事を教育されて育ちます。
何が食べられるのか、どう生活して行くのか基本的なことはすべて親から習い、また
仲間や兄弟たちとかかわることで自身の生き方暮らし方を学んでいます。
親からの学びにより、大声で鳴かない(敵からの避難行動)
相手を傷つける行為の軽減(甘嚙み等)
自分の仲間の認識(異種間、他種に対しての発情行動の抑制)
などの行動も覚えていきます。
動物の多くは群れで暮らし、その中で生きて行くすべ、仲間とのルールなど、
子供は親から独り立ちするまでの期間で学習していくのです。
しかし ペットショップにおいては「できるだけ幼い子」の販売をしています。
まだ親離れしない、種によってはまるで親の事を知らずに人の手で育てられるものも
あるのです。
そして、そういう育ち方をした動物の多くに分離不安症が現れることがあるのです。
今回の法改正により 犬・猫においては基本57日齢以前の販売は禁止されました。
(一部の日本犬などの例外あり)
少なくとも犬・猫においては56日齢までは母親・兄弟などと共同育児されるわけです。
しかし犬・猫以外については現状未規制状態です。
特に鳥など卵生生物の場合 人工ふ化などによる繁殖もあり、
産まれてすぐまだ羽毛もそろわない状態での出荷を普通に行われています。
こういう子は当然親も知らなければ仲間の認識もありません。
始めて見てかかわったのが人なので人のみを仲間と認識することで
姿が見えないための大声での呼び鳴き、発情相手としての誤認行動、
飼い主以外の人や動物に対する攻撃、本来の仲間との交流ができない、など
分離不安症の症状がみられます。
こう考えていくと飼い鳥における問題行動の多くが分離不安症に関わっていると
思われる面が多々見られており、鳥の共同育雛の必要性が求められていますが
現状、ほとんどのブリーダーさんは、実施されていませんし、する予定も
ないと思われます。
なぜならショップにおいても鳥は小さい時から挿し餌で育てるのが手乗りへの早道であり
そうするのが当たり前になっているからです。
もちろん法的規制もありませんから仕方がい、のかもしれません。
でも 犬・猫と同じかそれ以上ともいわれる知能がある鳥さんにおいても
同様の問題行動が起こること、起きているは確かです。
そしてそれが飼育放棄や手放しなどさらなる問題にもつながっています。
法規上においても、ブリーダーやショップは健康、健全な動物の販売をするよう
指導されており、同時に購入者に対する適切な説明などが求められています。
人がそうであるように動物においても健康とは見た目や印象ではなく
心身ともに健全であるべきだと思います。
動物取扱業責任者には、それを正しく認識し、取り扱う動物たちの健康状態を
確認することが定められています。
そのため現在は販売動物に対する顧客への説明がへの説明がかなり実施されており
ショップによっては獣医師との提携があったり診断書の添付をする店もあります。
ただ それでも疾患のある動物、のちに異常の発覚した動物も後を絶ちません。
そのためにもお迎えするときには飼い主自身にもショップの説明をまるのみにせず、
その子の様子をよく確認し、健康な子を求める努力が必要なのかもしれません。
でも、出会ってしまったら、目があったら、やはりお迎えしてしまうかもしれません。
ただそういう疾患を抱えた子であっても同じ大切な命です。
お迎えしてすぐ、具合が悪いこともあるかもしれません。
病院通いがつづくかもしれません。
もし、そういう子と出会ったなら、そしてその子を飼うと決めたなら
しっかり向き合いすべてを理解して飼養していただきたいと思います。
病気や奇形、異常を抱えていても そのすべてをしっかり受け止めて 不具合が
あってもその子が少しでも幸せに暮らせるように対応する覚悟を持っていただきますよう
お願いします。
Comments