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執筆者の写真Iriyama Satoruko

飼い鳥に関わること・動物の法律と法改正(19)


今回の法改正において 動物取扱業者のみならず 飼養者に対する規制も加えられました。

また、獣医師への追加規制もありますが 飼養者への規制と関連性が強いのでここで

ともに考慮してみたいと思います。



・飼養者に関する規制

   終生飼養の義務

             (不法遺棄の禁止)

   不適正飼養の禁止

      虐待等罰則強化  5年以内の懲役 最高500万円の罰金

      1頭の虐待であっても厳罰化

             (動物虐待事件の厳罰化・勧告、立ち入り調査)

             (1頭に対する虐待でも厳罰化)

   特定指定動物の愛玩飼育禁止

              (飼養に危険を伴う指定動物の飼養禁止)

   飼育不能動物に関する行政などの引き取り

      引き取り不可の場合あり

              (行政は引き取りを拒否できることもある)

   繁殖制限の義務化

      繁殖目的のない場合の去勢・避妊手術を講じなければならない

              (多頭飼育崩壊・飼いきれない飼育を予防)


・獣医師に関する規制

   虐待等によるとみられる事例があった場合の報告義務

             (動物虐待事件の厳格化・動物法医学)



飼養者に対する規制の根本は「終生飼養」の徹底です。

安易な衝動的な購入、短絡的な飼育の禁止。

動物の遺棄、虐待行為への規制が根本とされています。

この考え方の基本がアニマルウェルフェア・アニマルライツに関わる考え方にあります。

(アニマルウェルフェア=動物の福祉)

(アニマルライツ=動物の権利)

全ての動物には人と同じく幸せに暮らす権利があります。

誰でも、何があってもその権利を奪うことは許されません。

動物だから、といって その時の思い付きで安易に購入したり、飼ってみて自分に合わないからと飼育放棄したりすることは決してあってはならないことです。

同時に行政に対しても 安易な理由による飼育放棄に関して引き取りを拒否できるようにも

定められました。

また、飼った以上は動物の生涯にも責任が必要です。

繁殖による増加など、多頭飼育崩壊などの事例が多く 望まない子供は作らない、

自分で世話ができないような数を飼育しないよう、そのための繁殖予防措置(避妊・去勢)が求められています。

特定動物(人に危害を与える可能性がある動物)に対する愛玩飼育行為も禁止に

なりました。

特定指定動物の中には成長すると簡単には人の手に負えないような動物もあり、安易な

飼育による遺棄、法規などを禁止されています。

むやみに野外に遺棄することは環境汚染・生態系への影響などにもつながる行為です。

動物の虐待行為については、罰則が強化されました。

これに伴い 獣医師においても診察動物、または検死動物において虐待等疑いがある場合の

申告を義務化されました。

死因不明動物の検死なども実施されています。



鳥に関しては 現状コロナ下においての安易な飼育・購入の問題が指摘されています。

他の愛玩動物より安価で 飼育方法も簡単だと紹介する業者もあり、飼いやすいと

イメージされることが多いようです。

鳥の飼育は簡単ではありません。種類も食性も違いますし、個体差も激しい生き物です。

小さいから楽、ケージに入れておいて餌を与えればいい、そういう考え方で飼育する行為は

絶対にしないでいただきたい。

その子がどんな子か、しっかり勉強して本当にその子の生涯に責任を持てるか考えてから

飼育を考えてください。

また、鳥は種によって長生きなものもあり場合によっては1代で飼いきれない種もいる

ということも忘れないでください。

犬や猫のためのアニマルライツとして自由に遊び走れる環境を考えた場合、鳥ならば

自由に飛べる環境が必要な場合もあります。

1日中好きなように飛べる必要はないですが 彼らにとって必要な運動なども

考慮して飼育する必要があります。鳥は種によって繁殖力の強いものもあります。

なお、鳥の場合 避妊・去勢処置はできません。

飼育下の飼い鳥は、安全で安心できる環境での生活により発情しやすくなっています。

したがって繁殖期の雌雄別居、発情抑制などを考慮してください。

小さいから、管理しやすいからといって自由に繁殖させることは多頭飼育崩壊に

つながります。

万が一ヒナが産まれて飼いきれない場合など、里親を探すなどの手配も考えてください。

飼い鳥を野外に遺棄してはいけません。飼い鳥は野外で生き延びる力を持ちませんから

野外での生活は命にかかわります。

過失による逸走もよくある話ですが命を守るため、飼育管理には注意が必要です。


鳥に対する虐待行為については 以前名古屋での裁判もありました。

鳥だから、小さいからといってその命を安易に扱うこと、虐待することは禁止です。

もちろん、他の動物の餌食にするなどと言う目的はもってのほかです。

同等の罰則が与えられる行為です。

この度の法改正により 1匹の虐待であっても刑罰対象となり、罰則も強化されました。

虐待行為は飼い鳥のみならず、野生の鳩や水鳥に対する行為も同等の罰則対象です。


動物を飼う、ということはその動物の保護者になる、ということです。

その命がある限り守って大切にしていただきたいと思います。

誰にでもできる範囲がありますし、時には予定しない繁殖もあるかもしれません。

それでも、できる範囲で精いっぱい大切にしていただきたいと願います。

人がわが子を愛おしむようにその子を慈しんでいただきたいと思います。











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