先日 ブログに書かせていただきました 王子動物園のキリン ひまわりちゃんの死亡に
関して 新しくわかったことなどがあって追記させていただこうと思います。
今回の移送は、明らかに人の勝手な都合による無理な移送であったこと。
動物を 命あるもの、としてではなく 単なる荷物として扱っていたのだということです。
今回、ひまわりちゃんの移送ケージの大きさは 外側で 2m65cmだったそうです。
壁面の厚さもありますから 内側はもっと低いと思われます。
対して ひまわりちゃんの当時の背丈は 3m程度。
どう考えても 入る大きさではないことは 子供が考えてもわかることだと思います。
なぜ、そんなケースを使用したのか?
理由は道路交通法で トラックの荷台の高さが 3m80㎝までと決められていたためで
サファリパークの移動車両の荷台にケースを乗せて規制ぎりぎりのケースを
使用したから、とありました。
そのケースに ひまわりちゃんは入れられて、最初は首を出して立っていたのですが
出発時にケースのふたを閉めるために脚を広げ、首を前方に伸ばした形にさせられた
そうです。
明らかに不安定であり 苦しい姿勢だと思います。
わかりやすい表現でいえば キリンの給水時の姿勢に近い形だったと思われます。
その姿勢のまま 10時間移送された、というわけです。
(目的地までは22時間かかる予定でした)
しかも トラックによる道路輸送ですから カーブもあれば坂道もある、かなりの揺れや
振動もあったと予想されます。
一応 飼育員が数時間ごとに確認する手はずにはなっていたらしいのですが 実際は
どうだったのかは不明です。
結果 約10時間後、新潟のパーキングでケージを除くとひまわりちゃんは倒れて
亡くなっていた、ということです。
直接の死因は 呼吸不全と循環器不全。
体制が不安定で苦しくて 姿勢を変えようとしてバランスを崩し、倒れたのが要因と
いわれてます。
発見時 首が折れ曲がった状態だったということで 無理な状態で苦しかったことが
うかがい知れます。
今回の事故に対しては 岩手の動物園に対し多数のクレームや意見が出されている
ようですが この事は受け取る側の岩手だけでなく、発送側の王子動物園にも大きな責任があったと思います。
確かに迎えに来たのは岩手側の車で同乗したのも先方の飼育員であったのかも
しれないですが、送り出す側も車に乗せれば終わり、ではなく安全に現地につくまでは
見守る責任もあったと思います。
なお、動物の移送時の事故や死亡例はかなり多くあるそうです。
日本国内では、2~3年に1度程度 移送中、移送準備中などに 死なせてしまったり
ひどいけがをさせてしまう例も多いそうです。
動物園同士で繁殖活動を行うことは決して悪いことではないし 必要性もそれなりに
あると思います。
ただ、そのために貴重な命を失ってしまうのは 本末転倒だと思います。
動物種などに応じた移送方法、そのために必要であれば 移送時の特例などを設けるとか、動物たちのことを第一に考えていただきたい。
ひまわりちゃんは 19年ぶりにやっと授かった大切な子だったと聞いています。
無事に生まれたとき、順調に育っていく姿を見守るとき、どんなに愛おしく
思われたことかと。
そんな子が旅立つ日、なぜあのような状態での移送を容認してしまったのかと
悔やまれます。
動物愛護法が改善され、犬や猫でも展示環境に対して動物に苦痛や負担がないようにと
規制されています。
動物取扱法により「個々の動物に適応した広さや空間の確保」が定められており、
これは展示中に限らず 移動時においても確保されるべきことだと思います。
確かに移動時などはある程度小型のケージに入れることもありますが 最低限
体を伸ばしたり体制を変えられる余裕のあるケージが必要であり、個々の動物が安心して
過ごせる空間の必要性があると思います。
ちなみにJALが ペット動物の移送に関しての移送について規定している書面を見ましたが
「動物が入ったケージは、動物が立ったまま方向転換し たり、足を真っ直ぐにして
立ったり座ったり、自然な状 態で横になれる様に、十分な大きさでなければならない」
とされており 十分なケージでなく、無理な大きさを使用しての事故やトラブルが
あることが記載されていました。
そんな中、もっとも動物を管理し 動物の事に精通しているはずの動物園、
またその園で動物の健康を守り動物の命を第一に考えるはずの獣医師、誰一人として
それを指摘したり やり方を考える人はいなかった。
命と 道路交通法とどちらが優先されるべきなのか?
移動させるとき、送り出すとき それが「物」ではなく「命」だということを第一に
考えていただきたかったと深く思います。
一つの命が誕生するということは 奇跡の瞬間だと私は思っています。
だからこそ安易に取り扱うことなくすべての命に尊厳をもっていただきたいと願います。
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