先日、「到津の森公園」についての紹介記事を拝見しました。
動物園、というものの姿、そしてそこで飼育される動物の事、また訪れるお客さん、
その姿について園長さんのお話でしたが伺っていてなるほどと思うところがありました。
「到津の森公園」はかつて「到津遊園」という名前の動物園だったそうです。
昭和8年に開業、50年にわたり地域の人に愛された施設でした。
小さな動物園ながら200種もの動物が見られる施設でもありました。
しかし 平成12年に閉園。少子化などに伴い 来客数の減少などが大きな問題でした。
しかし閉園後、多くの市民から「動物園再開」を望む声があり、市営という形で
「到津の森公園」が再建される形になったそうです。
動物園の姿は一変しました。
コンクリート造りのオリではなく 土を入れ、樹木を植えたより自然に近い姿の展示に
なりました。
200種を誇った展示数も少なくなりました。
また 樹木が茂ると動物が隠れてせっかく見に来たお客さんに見えないことも
あるそうです。
動物園なのに動物が見つからない・・・しかし 逆に評判が上がったそうです。
自然な動物の姿が見える、どこにいるのか探すのが楽しい。
動物たちにとっても安心して過ごせるようになったようです。
園長さんは語ります。「今、ここには高齢のゾウが2頭います。」
「このゾウがいなくなったら、もうゾウは飼わない」と。
「ゾウやキリンがいない動物園があってもいいじゃないか。
もともと群れで生活している動物を2頭だけで生活させるなんてゾウのことを考えて
いないと思う。
インドゾウなら森のなかで暮らせるようにしてあげたい。
外国の動物園をまねたようなのじゃなく日本人らしい情趣のある公園のような動物園。
森で憩える動物園。市民の庭のような動物園を目指したい」
なるほど、と思いました。
確かに動物園には 海外の珍しい動物を見せる、という目的もあると思います。
また 貴重な動物を繁殖させたり、保護する目的もあると思います。
でも その前にまず 動物の幸せを考えるのならば、なにもなれない気候の土地に
連れて来ることが正しいとは思えませんし、ケージの中での繁殖が、
その動物のためだとは言い切れないと思います。
昔、昭和の時代の動物園は ただ、見せるための動物園が多かったと思います。
世界各地の珍しい動物を 種類ごとに小さな折に入れて展示していたように記憶します。
コンクリートの檻の中、種類ごとに並んでいてまるで 生きた動物図鑑みたいでした。
時代の流れとともに動物園の展示方法も変化してきました。
動物たちのあるべき姿を見せる、というコンセプトをもとに、他種の動物が一緒に
過ごすような「自然動物園」的なところも出てきました。
それでも もといた場所を離れて まるで違う気候の中で飼育されるということが
本当に動物たちのためになるのかは疑問を感じるところです。
もともと暮らしてきた世界で たとえ厳しい環境であっとしてもそこに暮らし、
そこで生きる事こそが本来の姿なのではないでしょうか?
野生動物は自然に生きてこそ、なのだと思いますし、その環境を守る事が
一番大切なのではないのか?
人間はその環境を維持できるように努めて暖かく見守ってやることのほうが
大切なのではないか?
今回の記事で 改めて動物との暮らし方接し方、動物たちにとって何が必要なのか。
そして動物園のあり方についても考えさせられました。
先日のキリンの事故もしかりですが、種の保存への努力だとか、繁殖活動が大切だとか
いいながら 動物を物として取り扱うような安易な移送が行われたり、
その動物にとって不快な環境での展示が行われるのは間違っていると思います。
コンクリートの檻の中で暮らす動物たち、そんな生活を望む動物はどこにもいないと
思います。
すべての動物は土に触れ、樹木に行こう生活が一番望ましいのだと思います。
私たちも動物園にただ、動物を見に行くのではなく動物たちにとって何が本当に
必要なのか、遠い国から連れてこられた動物たちが せめてそこで少しでも幸せに過ごせるように、動物園が そういう施設になっていくようにと願いたいと思います。
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