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執筆者の写真Iriyama Satoruko

元気なヒナを育てる


我が家も多頭買いですので よくヒナが産まれます。

一応 発情抑制などは努力しますが 産まれたときは その時で 元気に育ってほしいと

願います。

雛が元気に育つために 大事にしていることは 親鳥の管理です。

親が健康でないと元気なヒナは育ちませんから 親の健康診断はしっかりしています。

そのおかげか、インコを飼い始めた当初は メガバクなどに悩まされましたが

このところは、獣医師さんからもお墨付きが出るようになりました。

大変ありがたいことだと思いますし、しっかり管理していただける主治医さんにも

感謝です。

また 季節に応じた温度管理も大切ですし、親鳥だけでなく周りの鳥たちも

元気に暮らせるよう毎度必死になっています。


抱卵中や育雛中は、親鳥の食事についても ヒナが生まれてすぐ、育ち方に応じて

餌の割合を変えたり副食などについても その時期に応じて考えています。

たいへんな時もありますが 元気に育つヒナを見ていられるのは最高の時間だと思います。


ところで哺乳類の親たちは子供を元気に育てるために初乳を与えています。

初乳というのは 親が子供を産んですぐにあたえる初めての食事です。

初乳には その後に出る母乳とは違い、子供の免疫力を高めるための成分など

特別な栄養素が含まれています。

もちろん その内容は動物種によって違いますが、どの動物でも初乳を授乳できるかは

大切な事で 飼育下においても親からはぐれたり飼育放棄された子供を育てるために

母親の初乳をしぼって与えています。


では、鳥ではどうでしょうか?

鳥類は 卵で産まれてきます。

鳥の場合は 親から子に免疫力の引継ぎ等のことは行われないのでしょうか?

実は鳥においても 同じようなことが行われています。

例えば 鳩のピジョンミルクはよく知られていますが これは母鳩が産まれてすぐの雛に

のみ与える餌の事です。

ピジョンミルクは 親鳩のそのう壁の一部が剥がれて餌とともにミルク状になったもので

雛は口移しで親鳥から受け取ります。

ピジョンミルクはその後に与えられる餌よりも栄養豊富で ヒナの成長を促進し

免疫力なども高める力があるようです。

また、鳩の場合 メスのみでなく雄鳩もヒナが産まれてすぐはピジョンミルクを

与えることができるそうです。

鳩以外の鳥類でも ヒナが幼い時には 親がピジョンミルク状の餌を与えることが

報告されていますので 鳥においてもヒナは親から栄養とともに免疫力も

伝授しているということだと思います。


ただ、鳥の場合 鶏などのように、親がヒナに給餌しない種類もあります。

ヒヨコなどは卵から孵るとすぐ 地面に落ちているものをつついて食事をしますから

親から給餌されたりすることはありません。

こういう種類の鳥たちは親からの免疫力などは受け継がないのでしょうか?


最近の研究であることが判明しました。

きっかけは飼育下でのライチョウの繁殖です。

ライチョウも 鶏と同じく 親の手を借りずに餌を探して成長します。

しかし 飼育下で育ったヒナは 病気にかかりやすく成鳥まで育つ確率が非常に

低かったそうです。

それで研究者は 野生の親子の様子を研究したそうです。

そうして分かったことは 生まれてすぐの雛が親鳥の糞を食べていることでした。

ヒナたちは親の後ろについて歩きながら餌とともに親鳥の糞を食べて成長していることが

明らかになりました。

研究者は 親の糞を分析して 分の成分の中に免疫力を高める要素などが含まれている事を

確認したそうです。

ただ、野生の親鳥の糞には 有効な成分とともに 寄生虫などヒナには好ましくないものも

含まれていましたが 野生の雛の場合 そういったものも共に摂取することで免疫や

成鳥に大切な成分を親から受け継いでいくのだと思われます。

しかし、飼育下のクリーンゾーンで育ててきた雛鳥には そのままの野鳥の糞を与える

事は適していないことから親鳥の糞を分解後 有害な寄生虫などを除去して 

投与されましたが 結果 ヒナの生存率も上がり立派に成長するようになったそうです。


親が糞を子に与えることは 哺乳類でも行われています。

コアラの子は 袋から出てくるとまず最初に親の糞を食べます。

親の糞には 消化酵素などが多量に含まれており コアラの主食であるユーカリの葉を

消化し、その葉の有毒成分を抑える効果もあるそうです。


なお、親の給餌をもらっているインコや文鳥の雛でも 親の糞を食べる様子が

見られることがあります。

給餌を受けている雛も大きくなって自分で食べるようになるためになにかしら

大切なものを受け取っているのかもしれません。


鳥類についてはまだまだ知られていないことも多いので今後の研究や発表が

楽しみだと思っています。 

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