2)海外のペット事情~~~動物愛護法改正
先日のSNSミーティングにおいてもペットショップに関しては多くの方が強い関心をもって
いらっしゃることがうかがえます。
ペットショップのありかた、あるべき姿など 様々な意見がありました。
実際 ペットショップは必要がない、という意見もかなりありました。
ペットショップそのものが、というのではなくペットショップにおける生体の販売を
やめるべき、という意見がかなりありました。
この背景には 欧米におけるペットに関する法律の変化が一部影響しているようです。
アメリカにおいては 2021年にイリノイ州、ルイジアナ州において悪環境飼育の
ブリーダーなどからの動物をペットショップで販売することが禁止されました。
また、それを受けて ワシントン州、ニューヨーク州、メイン州においても
順次同じような規制がかけられています。
(悪環境ブルーダー・・・多頭飼育崩壊や虐待などの報告がある施設の事)
また 昨今日本でも話題になりましたが フランスにおいて 2024年以降、
ペットショップでの生体の販売の禁止が法的に決定されています。
ペットの生態販売が禁止されると ペットショップでは ペット関係の
飼育用品やグッズ、書籍、ペットフードなどを提供するだけになるわけです。
その場合、ペットを飼いたい、という人はどこから迎えるのか?
ヨーロッパなどでは ペットは 保護施設からお迎えする、またはブリーダーなど
から直接お迎えする、というのが主流になりつつあります。
例えば ペット先進国として名高いドイツなどでは、すでに徹底されており
犬、猫に限らず鳥や小動物、爬虫類などにおいても 保護施設から迎えることに
なっています。
ドイツにはティアハイムという民間の動物保護施設があり 国内の9割がここから
ペットをお迎えしています。
ティアハイムは欧州最大の動物保護施設です。
犬や猫だけではなくウサギなどの小動物、鳥や爬虫類などもティアハイムを通じて
譲渡されます。
ただ、動物が飼いたいからといって簡単にお迎えできるわけではなく家族の状況、
飼育環境、管理環境など様々な条件を審査後、譲渡するという徹底的な
対応がとられています。
これによって衝動的な購入、安易な飼育放棄を防いでいるそうです。
日本においても この度の動物愛護法改正により ペットショップ等動物取扱業者に対し
様々な規制が決定しました。
今回の法改正の対象は 犬・猫に限られていますが 今後他の動物種においても
同等の規制を行う可能性が示唆されています。
規制内容としてはまず 数値規制で
・飼育環境の大きさや 展示時間など
・ペットショップ内における管理内容について。
・子犬・子猫の販売可能な月齢について。
また
・一人の職員が対応できる動物の数などについて
も規制されました。
他に
・販売動物に対する説明の義務化。
・販売動物に対するマイクロチップ
の装着などもあります。
確かにこれまではやっと動ける程度の小さなケージに入れての展示や、
衛生的に問題のある展示なども多く報告されており 動物虐待などにも抵触する
ともされていましたからこの規制によりショップ内の設備の変更や 営業形態などを
見直す必要のあるショップも出てくるとおもわれます。
環境省は この度の法改正に至った経緯として
・不正飼育者や販売者による動物虐待報告が相次いでいたこと。
・多頭飼育崩壊など 管理できないブリーダーなどが多く報告されたこと。
などをあげています。
そして一人の人間が余裕をもって世話ができる限度を考慮した数値を
規定したそうです。
ただ、この規制はペットショップのみならず 動物を扱うすべての業種に対応するため
ブリーダーなどにおいてはこの規制の影響で全体の30%以上が廃業を考えている、
とも言われその影響により約13万頭以上の犬・猫が路頭に迷う可能性も指摘されています。
なお 放棄された犬・猫に対する対応施設とされる保護施設においても
同じ数値規制が課せられることから 現状の人員や施設では対応が難しく
結果 保護できない動物たちが増える、という声も多数あります。
せっかくの法改正でも結果、動物たちを苦しめる事になっては本末転倒であり、
環境省は今後の成り行きを見ながら数値規制の見直しも考えてはいるようです。
いずれ日本でもペットショップにおいての生体販売のあり方を見直すときが来るのかも
しれません。
しかし 今の日本において、ペットショップにおける生体販売の規制について
どこまで踏み込んで考えられるのか?
また 欧米のような保護施設での譲渡活動は どこまで勧められるのか?
そもそも 今の法規制下においてのペットショップの対応についても
まだまだ議論が絶えないところがあると考えられるのではないでしょうか?
ある意味 取扱業者のみならず消費者である我々も含めて、動物取扱業の
あり方について、動物たちとの付き合い方についても考える必要があるのかもしれません。
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