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執筆者の写真Iriyama Satoruko

「鳥が人をえらぶ」ということ (5)


里子に行った子がなくなったから、と言ってお悔やみに行くことはほとんどしません。

けれどこの子のことは、この時ばかりは伺いたいと伺うべきだと思いました。


先方にお願いして日取りを合わせて用意をしました。

その時 この子と目があいました。

「一緒にいこうか?お兄ちゃんに会いに行こうか?」

なぜそう思ったのか、今でも正直わかりません。

でも この子は行きたいのでは?と感じました。

しかし この子はまだまだ治療中の身です。

もちろん連れて帰る予定でした。


訪れた家族は悲しみに包まれていました。

おかあさんもお嬢さんも、でも一番つらそうにしていたのは 友達を失った鳥さんでした。

実はこの子もうちで産まれた子です。

亡くした子とは別の親の子ですが 普段は元気で明るく良くおしゃべりする子だときいていました。

亡くなった子とはとても仲良しで毎日一緒に遊んでいたそうです。

その子がケージの隅でおとなしくしていました。


小鳥が「死」というものに対してどのように関いているのかはわかりません。

ただ、その事実は分からなくても、今まで呼べばへにがあったのに反応がない、

探しても姿が見えない そんな不安があるのは確かなのではと思います。

そして周りの家族の様子。

深い悲しみやつらそうな空気、そういうものはかなり敏感に感じとっているように

思います。

どうしたらいいのかわからない、なぜこうなったのかわからない、

そんな中で 彼は動けなくなっているように感じました。


「一緒にお参りさせていただいてもよいでしょうか?今度生まれた弟です。

この子を見たとたん おかあさんは泣き崩れてしまいました。


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